ラーンの斧が石壁を叩き割り、埃が舞い上がった。
「よし、開いたぞ!」
彼は興奮気味に言ったが、イシェは眉間に皺を寄せた。「また、安易な罠じゃないか。こんな粗雑な仕掛けには…」
彼女の言葉はラーンの耳に届かず、すでに奥へ進んでいく。「ほら、テルヘルさん、こっちだ!」
テルヘルは彼らを静かに見つめた。鋭い瞳が遺跡の奥へと向けられていた。彼女は何かを感じ取っているようだった。
「……行こう」
彼女は冷淡な声で言った。彼女の視線は遺跡の奥深くにある、まるで影のように潜む何かを捉えているかのようだった。それは、彼女に復讐を誓わせたヴォルダンの影と重なるものだった。
遺跡の奥深くへと進むにつれ、壁には不思議な模様が刻まれていた。イシェはそれらを指でなぞりながら呟いた。「これは…古代の言語だ。失われた文明の…」
彼女の言葉は途絶えた。それは、壁に描かれた模様の中に隠された魅惑的な力を感じ取ったからだ。それはまるで、彼女を遺跡の奥深くへと引き込むかのような、不可抗力な魅力だった。
ラーンは、イシェの変貌に気づかず、遺跡の奥へと進んでいった。「おや?何か面白いものがあるぞ!」
彼は興奮気味に叫んだが、彼の視線は既にテルヘルに向けられていた。テルヘルの瞳には、復讐への執念だけでなく、遺跡の奥に秘められた謎への魅惑的な興味が宿っていた。
「さあ、ラーン。イシェ。」テルヘルは静かに言った。「我々は、真の宝を求めていくのだ。」