ラーンが巨大な石扉を叩きつけた。埃が舞う中、扉は僅かに開き、内部の闇を見せた。イシェが懐中電灯を点け、狭い通路を照らした。「いつもより深いな…」イシェの声が響く。
「今回は大穴だ!俺に任せろ!」ラーンは興奮気味に剣を構えた。テルヘルは後ろから彼らをじっと見つめていた。彼女の目は冷たく、何かを計算しているようだった。
通路は急勾配で、滑りやすい石畳が続く。イシェは慎重に足を踏み出しながら、「ここは以前来たことがあったはず…」と呟いた。ラーンは気にせず先へ進もうとする。
「待て!」テルヘルが声を上げた。「ここには罠がある」彼女は壁の細かな模様を指差した。「高速で動く石板だ。タイミングを逃すと潰されるぞ」
ラーンの顔色が変わった。イシェは冷静に「じゃあどうする?」と尋ねた。テルヘルはニヤリと笑った。「簡単だ。俺たちが誘導役、お前らが突破口だ」
ラーンの剣が光った。テルヘルの指示に従い、彼らは石板を誘導しながら進む。イシェは息を呑んで後ろからついていく。石板の動きは高速で、僅かな誤差が生じれば命取りになる。だが、三人は息の合った連携で難所を突破していった。
やがて通路の先に広がる空間が見えてきた。そこに、巨大な宝箱が置かれていた。ラーンの目は輝き、イシェの心臓が高鳴った。テルヘルは微笑んだ。「これで終わりだ」と呟いた。しかし、その瞬間、床から黒い影が伸び、三人を包み込んだ…。