「よし、今回はあの洞窟だ」ラーンが目を輝かせると、イシェは眉間に皺を寄せた。「またあの危険な場所か？ ラーン、あの洞窟は噂では…」
「大丈夫だよ、イシェ。今回はテルヘルさんが一緒だしな。ほら、大穴が見つかったら、俺たちはもう苦労しないんだ！」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。テルヘルは冷静に地図を広げ、「準備はいいか？ 今回は慎重に進もう」と告げた。
洞窟の入り口は暗く、湿った臭いが漂っていた。ラーンが先陣を切って進んでいくと、イシェは後ろからテルヘルに「あの…テルヘルさん、本当にあの洞窟に何かあるんですか？」と尋ねた。「噂は本当かどうかはわからない」とテルヘルは答えた。「だが、あの洞窟にはヴォルダンが何らかの関与をしているという情報がある。私の目的を果たすためには、調査する必要がある」
彼らは深い闇の中を進んだ。やがて、洞窟の奥深くで、巨大な石碑を発見した。石碑には、複雑な古代文字が刻まれており、テルヘルは真剣な表情でその文字を解読しようとした。
その時、洞窟の天井から石が崩れ落ち、ラーンが身をかわすように転がった。「なんだこれは！？」ラーンの叫ぶ声に、イシェは振り返ると、背後から何者かが近づいてくるのを感じた。
「逃げろ！」テルヘルが叫んだ瞬間、影から複数の武装した男が現れた。彼らは鋭い剣を振りかざし、ラーンとイシェめがけて襲いかかってきた。「ヴォルダンの兵だ！」テルヘルは剣を抜いて立ち向かった。
激しい戦いが始まった。ラーンは力任せに剣を振るい、イシェは素早い動きで敵の攻撃をかわす。テルヘルは冷静沈着に戦い、敵の動きを封じながら、ラーンの隙を突くように攻撃した。
しかし、敵の数は多く、次第に追い詰められていく。その時、イシェが石碑に刻まれた古代文字の中に何かを発見した。「これだ！」イシェが叫び、石碑の表面を叩くと、石碑から強い光が放たれた。光は洞窟全体を照らし、敵を一時的に盲目にした。
その隙に、ラーン、イシェ、テルヘルは洞窟から脱出した。振り返ると、敵たちは混乱しながら立ち上がっていたが、追いかけてくる様子はない。
「あの光は何だったんだ？」ラーンが不安そうに尋ねると、テルヘルは静かに言った。「あの石碑は、ヴォルダンが何かを隠すためにここに設置した装置のようだな。そして、その装置を起動させるためには、高官の許可が必要だったようだ」