ラーンが錆びた剣を肩に担いでビレーの酒場に飛び込むと、イシェが眉をひそめて言った。「また、借金か？」 ラーンの背後からテルヘルが冷めた声で続けた。「今回は一体いくら？」 ラーンは苦笑いして、テーブルに崩れ落ちた。「今日は大穴が見つかる予感しかしない！あの遺跡の奥深くには必ず何かあるって言うんだ！」 イシェはため息をつきながら、「そんな夢を見てる暇があったら、日雇いの仕事でも探した方が…」と言いかけたその時、テルヘルが鋭い目でラーンを睨みつけた。「今回は少し大それた依頼だ。高額な報酬と引き換えに、特定の遺物を手に入れて欲しい」 ラーンの目は輝き始めた。「どれだけの報酬だ？」「君たちが今まで見たことのない金額だ」テルヘルはゆっくりと口を開いた。「だが、その代わりに危険も伴う。承諾できるか？」 ラーンは一瞬迷いながらも、イシェに視線を向けた。イシェはため息をつきながら、「わかった。今回はテルヘルの言う通りにするよ。でも、報酬はちゃんと受け取れるように気を付けてくれよ」
翌朝、三人はビレーを出発した。目指すは、険しい山々に囲まれた遺跡だった。そこはかつて栄華を極めた王国の遺産であり、今も多くの冒険者を魅了する危険な場所だった。テルヘルは地図を広げ、「目標の遺物は、この遺跡の中央部にあると推察される。だが、そこには強力なトラップが仕掛けられている可能性もある」と警告した。ラーンはワクワクしながら剣を構え、「さあ、大穴に手を伸ばす時だ！」と叫んだ。イシェは深く息を吸い込み、不安を胸に秘めながら、遺跡へと足を踏み入れた。
遺跡の内部は暗く湿っていた。壁には古びた絵画が描かれており、かつて栄えた文明の面影を伝えていた。だが、その美しさの裏には、危険な罠が潜んでいることをラーンたちは知らなかった。彼らは一歩ずつ慎重に進む中、突然、床から鋭い棘が飛び出してきた。ラーンの素早い反応で危機を免れたものの、イシェは足に棘を刺されてしまった。
「イシェ！」ラーンは慌てて駆け寄る。「大丈夫か？」 イシェは顔を歪めながら、「痛いが…大丈夫だ。だが、この傷はすぐに治療しないと…」と呟いた。テルヘルは冷静に状況を判断し、「ここは後回しにして、遺物を手に入れることが最優先だ」と告げた。「イシェの治療は後でビレーに戻ってからにしよう」 ラーンは迷いながらも、テルヘルの意見に従うことにした。彼らはイシェを背負い、遺跡の奥深くへと進んでいく。しかし、その先に待ち受けていたのは、想像を絶する恐怖だった…。