ビレーの街を見下ろすようにそびえる遺跡の入り口。ラーンがいつものように大きな声で笑っていた。
「よし、今日は必ず何か見つけるぞ！イシェ、テルヘルも準備はいいか？」
イシェは小さくため息をつきながら、道具を整理した。「ラーンの言うことはいつも大げさだ。今回は慎重に進みたいわ」
テルヘルは静かに剣を構え、遺跡の入り口を見据えていた。彼女の目は鋭く、その奥底には深い憎しみが渦巻いていた。
「準備はいい。この遺跡にはヴォルダンに関する情報があるはずだ。必ず手に入れる」
彼らは遺跡内部へと足を踏み入れた。通路は狭く、天井からは鋭い石が突き出ている。ラーンは軽々と進んでいくが、イシェは慎重に足元を確認しながら進んでいた。テルヘルは常に警戒を怠らず、周囲をくまなく見回していた。
彼らは徐々に深部へと降りていった。遺跡内部は複雑な構造で、上り下りが続く。ラーンの無計画な行動にイシェは何度も呆れながらも、彼の大胆さは時に役に立つのだった。
ついに彼らは広間に出た。中央には巨大な石碑がそびえ立ち、壁一面に古代の文字が刻まれていた。
「これは…」イシェは息を呑んだ。「ヴォルダンに関する記録…？」
テルヘルは石碑に駆け寄り、文字を激しく見つめた。
「ここに…ヴォルダンの起源に関する情報がある！」
彼女は興奮気味に言ったが、その瞬間、床が崩れ始めた。ラーンは一瞬遅れて気づき、イシェを掴もうとしたが間に合わなかった。
イシェは深い淵に落ちていくのを感じた。
「イシェー！」
ラーンの叫び声が響き渡る中、イシェは深い闇の中に吸い込まれていった。