ビレーの喧騒を背に、ラーンは荒涼とした遺跡へと足を踏み入れた。イシェがいつも通り念入りに周囲を観察し、テルヘルは先陣を切って薄暗い通路へ消えていった。ラーンの心はいつもと少し違った高揚感で満たされていた。
今日の遺跡は、ビレーの南東に位置する「眠れる巨人」と呼ばれる場所だ。地元では巨大な石像が眠っていると伝えられており、ラーンは子供の頃からその存在を夢見ていた。石像から何らかの財宝が出てくるという噂も耳にしたことがあった。
「よし、行こうぜイシェ！」
ラーンの叫び声は遺跡の奥深くまでこだました。イシェはため息をつきながらラーンの後を追った。テルヘルは、いつも通り先を急いでいる。
遺跡内部は予想以上に広かった。巨大な石柱が迷路のように立ち並び、薄暗い光が差し込む場所と pitch black な場所が交互に現れる。ラーンは興奮を抑えきれず、石柱に触れてみたり、壁を叩いてみたりした。イシェはいつも通り冷静に状況を把握しようと努めていたが、この遺跡の規模と雰囲気に圧倒され始めていた。
テルヘルは突然立ち止まった。「ここだ。」彼女は低い声で言った。
ラーンの視線はテルヘルの指さす方向へ移った。そこには、巨大な石の扉があった。扉の上には、複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように光を放っていた。
「これは…」イシェが言葉を失った。
「眠れる巨人の心臓部だ。」テルヘルは言った。「ここに、我々が求めるものがある。」
ラーンは興奮を抑えきれず、扉に手を伸ばした。イシェはラーンの腕を引き止めようとしたが、その瞬間、扉が轟音と共に開かれた。 blinding light が彼らを襲い、彼らの眼前には広大な空間が広がっていた。
そこには、巨大な石像が横たわっていた。その姿はまさに「眠れる巨人」そのもので、その大きさは想像を絶するほどだった。そして、巨人の胸のあたりに、輝く球体があるのが見えた。
ラーンは息をのんだ。イシェも言葉を失い、ただ見つめていた。テルヘルだけが冷静に、球体に近づいていった。
「これは…」テルヘルが声を震わせる。「我々が探していたもの…」
球体がゆっくりと回転し始め、周囲の空間を照らし始めた。その光は、まるで生きているかのように脈打っていた。ラーンの心は、驚きと畏敬の念で満たされていた。
その時、球体から強い光が放たれ、ラーンたちの目の前を覆った。そして、意識を失ってしまった…。