ラーンが遺跡の入り口で興奮気味に話しかける。「おいイシェ、今回は絶対何かあるって気がするんだ!ほら、この空気!俺の勘が外れた試しがないだろ?」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの背後から彼の手を掴んで引っ張った。「またそんなことを言っている。今回は本当に危険な遺跡だと聞いたぞ。落ち着いて行動しないと」
「大丈夫だって!テルヘルも付いてきてるんだし。」ラーンはそう言いながら、テルヘルの方へ視線を向けた。
テルヘルは石畳に深く沈み込んだ足跡をじっと見つめていた。「確かに危険だ。だが、その危険と引き換えに、我々が望むものが手に入るかもしれない。」彼女の言葉には冷酷な意志が込められていた。
遺跡内部は暗く湿っていた。ラーンの懐中電灯の光が壁に反射し、不気味な影を映し出していた。「うわっ、なんか気持ち悪いなぁ」ラーンが呟くと、イシェは小さく頷いた。
彼らは慎重に進みながら、遺跡の奥へと進んでいった。やがて、巨大な石扉が現れた。「ここだな!」ラーンの声に興奮を抑えられず、イシェも少しだけ期待を膨らませた。テルヘルは石扉に手を当て、ゆっくりと開け始めた。
扉が開くと、そこには広大な部屋が広がっていた。中央には、光る結晶体が鎮座していた。「おお!すごいぞ!」ラーンの叫び声は、部屋中に響き渡った。しかし、イシェは何かを察知したように、背筋が凍りついた。
「待て!」イシェは叫んだが、ラーンはすでに結晶体に向かって駆け出そうとしていた。その時、テルヘルがラーンの腕を掴んで引き止めた。「ちょっと待ってください。」彼女は冷静な声で言った。「この結晶体は、ただの石ではありません。触れると、とんでもない危険に晒されるかもしれません。」
「そんな…」ラーンは困惑した様子だったが、テルヘルの目は冷酷に輝いていた。イシェはテルヘルの言葉に不審を抱きながらも、ラーンの安全を優先して彼を引き止めた。「そうだな、落ち着こうよラーン。テルヘルが言うように、慎重に調べた方がいいだろう。」
「よし、わかった。でも、早く見せてくれよ!」ラーンはそう言って、イシェとテルヘルを見つめる。
テルヘルは小さく笑った。「もちろん、ご安心ください。あなたたちにその機会を必ず与えます。ただし…」彼女は少し間をおいてから続けた。「その前に、ちょっとしたゲームをしましょう。」
イシェはテルヘルの言葉に何かがおかしいと感じたが、ラーンの興奮を抑えることしかできなかった。そして、彼らはテルヘルの言葉通り、危険なゲームへと巻き込まれていくことになるのだった。