ラーンの豪快な笑い声とイシェのため息がビレーの朝を告げた。今日も遺跡だ。ラーンはいつも通りの勢いで準備を終え、イシェに「今日は絶対に何か見つかるぞ！」と声をかけた。イシェはいつものように眉間にしわを寄せた。「また大穴か？」と呟くと、テルヘルの方へ視線を向けた。彼女はいつも冷静沈着で、無駄な動きをしない。
「準備はいいか」テルヘルの声が響いた。「今日はあの洞窟だ。地図によると奥に何かあるらしい」
ラーンは目を輝かせた。「よし！行くぞ！」と、イシェの手を取ろうとしたが、彼女は素早くかわした。「待ちなさい。まだ準備ができていない」
テルヘルは地図を広げ、複雑な記号を指さした。「この遺跡はヴォルダン軍が一時的に使用していたようだ。罠の可能性もある。慎重に進む必要がある」
ラーンの顔色が少し曇った。「またヴォルダンか…」
イシェは彼の肩を叩いた。「気にするな。テルヘルがいるから大丈夫だ」
洞窟の入り口は暗く、ひんやりとした空気が流れ込んできた。ラーンが剣を抜くと、イシェも daggers を手に取った。テルヘルは常に警戒を怠らない様子で周囲を確かめた。
「あの石碑…見たことがあるような…」イシェが呟いた。それは複雑な模様で刻まれた石碑で、遺跡の奥深くで見つかったものだ。
「ヴォルダン軍の紋章だ」テルヘルの声が冷たかった。「この遺跡は彼らが何かを隠している可能性が高い」
ラーンは不機嫌そうな顔をした。「またヴォルダンか…」と呟いた。イシェは彼の腕を引っ張った。「落ち着いて。テルヘルが言うように、何か重要なものがあるかもしれない」
「重要なもの？金か宝石か？それとも…」ラーンの目は輝き始めた。
イシェはため息をついた。「大穴か…」
彼らは洞窟の奥へと進み、様々な罠を乗り越えていった。時折、ラーンが軽口を叩いたり、イシェが冷静に状況を分析したりする声だけが響いていた。テルヘルは常に沈黙を守り、周囲を警戒していた。
ついに洞窟の奥深くまでたどり着き、そこは広大な部屋だった。中央には巨大な石棺があり、その周りには様々な遺物が散らばっていた。
「これは…」イシェの声が震えた。「この遺跡の真の目的…！」
ラーンは目を輝かせた。「大穴だ！ついに大穴が見つかった！」
テルヘルは静かに石棺に近づき、手を伸ばした。彼女の目は冷たく、何かを企んでいるかのようだった。
「待て」イシェが声を上げた。「あの石碑…ヴォルダン軍の紋章と同じだ。何か危険な罠があるかもしれない」
しかし、ラーンの興奮を抑えきれず、彼は石棺に飛びついた。その時、石棺から強烈な光が放たれ、洞窟を埋め尽くした。三人は目を細めたが、その光の中に何かを見つけた。それは…