日差しが容赦なく降り注ぐビレーの広場。ラーンは、イシェから渡されたパンを頬張りながら、ぼんやりと街を見渡していた。
「今日はいい天気だな。遺跡探検にはもってこいだね!」
ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。
「また遺跡か… いつになったら大穴が見つかるんだ?」
「いつか必ず見つかるさ!俺たちならな!」
ラーンは自信満々に笑ったが、イシェの眉間にしわは深まった。最近、ビレーでは食料不足が深刻化していて、遺跡探索で稼ぐ日当もなかなか手に入らない。
そんな中、テルヘルが現れた。「準備はいいか?」
彼女の冷たい視線が、ラーンとイシェを刺すように感じた。
「今日は特別な依頼だ。ヴォルダンから持ち出してきた古い地図がある。そこには、かつての王家の墓があると記されている」
テルヘルの言葉に、ラーンの目は輝いた。王家の墓なら、莫大な財宝が眠っているかもしれない。
「よし!行こうぜ!」
ラーンは興奮気味に立ち上がったが、イシェは少し不安げだった。
「あの地図…本当のことを教えてくれるのかしら」
テルヘルは不気味に笑った。「信じるか信じないかは、あなた次第だ」
荒れ果てた遺跡の奥深く、彼らは王家の墓へと続く扉を見つけた。しかし、扉の前には、何者かが遺した罠が仕掛けられていた。ラーンの無鉄砲な行動で、イシェは深い傷を負ってしまう。
「イシェ!」
ラーンは焦りながらイシェに駆け寄った。イシェは苦しそうに息を吐きながら言った。
「もう…限界だ…」
イシェの顔色は青白く、意識が朦朧としていた。
「待て!俺が必ず助け出すから!」
ラーンは必死にイシェを支えながら、扉を開こうとした。
しかし、扉は重く閉ざされていた。
その時、テルヘルが近づいてきて冷たく言った。
「もう諦めなさい。イシェには…もう時間がない」
「そんな…」
ラーンの言葉に、テルヘルは嘲笑した。
「この遺跡には、財宝など何もない。ただ、死だけが残る場所なのだと、お前たちに教えてあげよう」
ラーンは絶望に打ちひしがれ、イシェの手を握りしめた。
イシェはかすれた声で言った。
「…ラーン… あの時は…本当にごめん…」
イシェは息を引き取った。ラーンの心は、深い悲しみと怒りで満たされた。
テルヘルは、冷たい視線でラーンを見下ろした。
「お前も、いずれ同じ運命を辿るだろう」