ラーンの粗雑な足音だけが響く遺跡の内部。イシェが眉間にしわを寄せ、壁に刻まれた古代文字を指さした。「ここには、この遺跡が建造された時代の風習に関する記述があるはずだ。」
「そんなことより、早く宝探しの場所を見つけろよ!」ラーンは不機嫌そうに剣を振るい、埃をかき混ぜた。
イシェはため息をついた。「ラーン、いつも言うように、遺跡は簡単に掘り当てられるものではない。特にこの場所は、風化が進んでいるため、本来の姿を知るには時間と労力が必要だ。」
その時、テルヘルが背後から声をかけた。「二人とも、騒ぎすぎです。貴重な時間を無駄にしていますよ。」彼女は冷酷な眼差しで、二人の様子を見下ろした。
「宝のありかを教えてくれれば、すぐに探すぞ!」ラーンは興奮気味に言った。テルヘルは冷笑的な笑みを浮かべた。「私が探しているものは、金銀財宝ではありません。この遺跡から得られる情報は、ヴォルダンへの復讐を果たすために必要なのです。」
イシェが静かに言った。「テルヘル、私たちは遺跡の調査を依頼されただけです。彼女の目的には関係ないでしょう?」
「目的は一つだ」テルヘルは毅然とした態度で言った。「それはヴォルダンを滅ぼすことだ。そして、そのために必要な情報は、この風化が進んだ遺跡に眠っている。」
ラーンの表情が曇り始めた。「おい、待てよ。俺たちは宝を探しに来たんだぞ!こんな危険な場所に足を踏み入れたのは、金のためだ!」
テルヘルは鋭い視線を向け、「あなたたちには選択肢はありません」と告げた。その言葉は、風化した遺跡の壁に刻まれた古代文字のように、重く響いた。