ラーンがいつものように、遺跡の入り口前で大げさに腕を振るっていた。「今日は必ず大穴が見つかるぞ！イシェ、テルヘル、見てろ！」
イシェはため息をつきながら、背負った荷物を整理した。「またそんなこと言ってる。遺跡探検で財宝を見つけた話は聞いたことがないわ」
「あるんだよ！ほら、昔、ビレーの近くの遺跡で…」 ラーンの口からいつもの大 tall tale が流れ出した。イシェは耳を塞ぐように小さくため息をついた。
テルヘルは冷静な目で二人を観察していた。「準備はいいか？今回はヴォルダンとの交渉に繋がる重要な遺物がある可能性が高い。失敗は許されない」
ラーンの目は輝き始めた。「よし、行こうぜ！」
遺跡の内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。ラーンが先頭で進んでいくと、イシェが足取りを遅らせるように彼に近づいた。「あのテルヘル…」
「何だ？」
「本当にヴォルダンとの交渉に繋がる遺物なの？噂では、彼女は単なる復讐鬼だって聞いたことがあるのよ」
イシェの言葉にラーンは一瞬戸惑った。だがすぐにいつもの笑顔を取り戻した。「そんなことないよ！テルヘルはきっと良い人なんだ！」
しかし、イシェの目は疑いのままだった。
深く遺跡内部を進んでいくと、ついに巨大な石棺を発見した。そこには複雑な模様が刻まれており、古代の文字で何かが書かれていた。テルヘルは興奮気味に石棺に近づき、その文字を解読しようと試みた。
「これは…！」 彼女の声は震えていた。「これはヴォルダン王家のcrest だ！ここに眠っているのは、ヴォルダン王家の先祖のものかもしれない！」
ラーンは目を輝かせた。「やったぞ！これでテルヘルも目的を果たせるな！」
イシェは石棺をじっと見つめていた。何かがおかしいと感じていた。この石棺、そしてテルヘルの狂熱的な様子。まるで何かを隠しているようだった。
「イシェ、どうしたんだ？」ラーンの声がイシェを引き戻した。
イシェはゆっくりと首を振った。「何もないわ。ただ…」彼女は言葉を濁した。
その時、背後から冷たい風が吹いた。振り返ると、そこにはテルヘルが立っていた。彼女の顔に不気味な笑みが浮かんでいた。
「これで全て終わりだ」彼女は冷たく言った。「この遺物を使って、ヴォルダンを滅ぼす時が来た…」