ラーンの斧が石壁に深く食い込んだ。埃が舞い上がり、イシェは咳き込みながら顔をしかめた。
「よし、これで開けられるはずだ」
ラーンは力強く言った。彼の頬には汗がにじんでいて、胸からは荒い息が漏れていた。だが、目は輝いていた。
「本当に宝が隠れてるのかしら?」
イシェは懐疑的な声で呟いた。「こんな奥深い遺跡で、大穴が見つかるなんて…」
「見つかるぞ!俺の直感だ!」
ラーンは自信満々に言った。彼の頬には、いつものように Carefreeな頬笑みが浮かんでいた。イシェは苦笑しながら頷いた。ラーンの直感は、これまで何度か彼らを窮地に追い込んだこともあったが、同時に驚くほど幸運をもたらすこともあったのだ。
「よし、開けるぞ!」
ラーンが力強く扉を押し開けた瞬間、目の前には広大な空間が広がっていた。天井から光が降り注ぎ、壁には複雑な模様が刻まれていた。そしてその中央には、黄金の輝きを放つ巨大な石棺が置かれていた。
「おおっ!」
ラーンの目は丸くなり、頬笑みがさらに広がった。イシェも思わず息をのんだ。それは確かに、大穴だった。
その時、後ろから冷たい声が聞こえた。
「なかなかいい場所を見つけたようですね」
テルヘルが、静かに微笑みながら近づいてきた。彼女の目には、冷酷な光が宿っていた。
「この宝は、我々のものだ」
彼女は言った。ラーンの頬の笑顔は一瞬消え、イシェは緊張した表情でテルヘルを見つめた。遺跡の奥深くで、新たな戦いが始まろうとしていた。