「よし、今日はここだな！」ラーンが地図を広げ、太い指で一点を突いた。イシェは眉間にしわを寄せた。「またしても危険な場所じゃないか…あの遺跡は以前から調査が行われていて、既にほとんどのものは持ち去られているはずだ。」 ラーンの目を輝かせながら「そうかもしれない、でも俺たちの目は違うんだ！必ず何か見つけられる！」と豪語した。イシェはため息をつきながらも、結局はラーンの熱意に負け、「わかった、行くわ」と言葉を紡いだ。
テルヘルは冷めた目で二人を見つめていた。「今回は慎重に進めよ。ヴォルダンとの関係も考えると、無用なリスクは避けたい。」ラーンはテルヘルの言葉に耳を傾けず、イシェととも遺跡へと向かっていった。
遺跡の入り口は崩れかけており、内部は薄暗い闇に包まれていた。ラーンの足音だけが響き渡る静寂の中、彼らは慎重に進んでいった。しかし、期待していたような貴重な遺物も見つからず、日が暮れていくにつれ、イシェの不安は募っていった。「もう引き返そうよ、何も見つからないわ」と彼女は言ったが、ラーンは「まだだ！俺たちは必ず何かを見つける！」と頑なに主張した。
ついに彼らは遺跡の奥深くで、巨大な石棺を発見した。興奮を隠せないラーンの姿を見たイシェは、一抹の希望を抱いた。「もしかしたら、これが大穴かもしれない…」彼女は心の中で呟いた。しかし、石棺を開けた瞬間、激しい光が放たれ、二人を吹き飛ばした。
目を覚ますと、そこは遺跡ではなく、見慣れない場所にいた。ラーンはイシェを探し回ったが、彼女は姿が見えない。「イシェ！どこだ？」ラーンの叫び声は空虚な空間でこだまして消えていった。
何も見つからなかっただけでなく、仲間を失ってしまった。希望に満ちて遺跡に挑んだはずが、結果は何も得られず、さらに大きなものを失う結果になってしまった。ラーンの胸には深い絶望が渦巻いた。