ラーンが巨大な石の扉の前に立ち尽くしている。イシェが彼を後ろから押すように促した。「どうする? ラーン。ここまできたら、入ってみないと意味ないんじゃないのか?」
ラーンの眉間にしわが入った。「いや、イシェ。この扉に何か… 不吉なものを感じるのを感じるんだ。」
「不吉って…」イシェはため息をついた。「またお前がそんなこと言うぞ? 何回も言ってるだろう。遺跡なんてそんなものじゃない。ただの古い建物だ。宝を探しに来たんだろ?Come on!」
ラーンは渋々、扉に手をかけた。重い扉がゆっくりと開いていくと、石畳の長い通路が現れた。薄暗い通路の先には、かすかに光が揺らめいているのが見えた。
「よし、行こう。」イシェは先導するように歩き始めた。ラーンの後ろをテルヘルが続いた。彼女はいつも通り無表情だった。しかし、彼女の瞳には、何か冷酷な光が宿っているように見えた。
通路を進んでいくと、壁に古びた絵画が飾られていた。絵画には、奇妙な生き物や古代の儀式の様子が描かれており、ラーンは不気味に感じた。「イシェ、これって… 何か予言みたいじゃないか?」
イシェは絵画をじっと見つめた。「予言? 何のことだ?」
「あのね、昔、この遺跡について聞いたことがあるんだ。ここで何か大きな出来事が起こるって… 予言があるらしいんだ。」
イシェは笑った。「そんなバカな話があるわけないだろ。そんなものはただの迷信だ。」
しかし、ラーンの言葉がテルヘルの心に響いたようだ。彼女は絵画に視線を向け、「興味深い…」と呟いた。
その瞬間、通路の奥から地響きのような音が聞こえた。ラーンは驚いて振り返った。「何だあの音は?」
イシェも顔色を変えて言った。「何か来るぞ! 早く逃げよう!」
しかし、遅かった。通路の先に巨大な影が現れた。それは、絵画に描かれていた生き物とそっくりだった。
ラーンの心臓が激しく鼓動した。「これは… 予言が現実になるってってことか…」
テルヘルは冷静に剣を抜いた。「逃げるな! 戦え!」
三人は巨大な影に立ち向かった。しかし、その力は想像を絶するもので、三人はすぐに圧倒されてしまった。ラーンの剣が折れ、イシェは壁に叩きつけられ、テルヘルも傷つき、力尽きそうになった。
その時、ラーンの耳に声が聞こえた。「汝の運命は、まだ決まっていない…」
その声は、どこからともなく聞こえてきた。まるで、遠い過去の誰かが囁いているようだった。ラーンは立ち上がり、再び巨大な影に向かって剣を振り下ろした。