ビレーの酒場「荒野のウルフ」は今日も騒がしかった。ラーンが粗雑に杯をテーブルに置くと、イシェが眉間にしわを寄せた。
「また飲み過ぎだ。明日の遺跡調査に影響が出るぞ。」
ラーンは笑いながら肩を叩いた。「心配するな、イシェ。俺の勘が働く時、酒は最高の相棒なんだ。ほら、あの日も大発見の前夜だったろ？あの時は酒場で聞いた bard の歌でヒントを得たんだぜ！」
イシェはため息をつき、杯を口にした。酒場の隅で演奏する bard の音楽は、哀愁を帯びたメロディーだった。その音色はイシェの心を落ち着かせ、ラーンの無茶な行動を少し許せるようにした。
次の日、遺跡へと向かう道中、ラーンがいつものように軽快に歌を口ずさむ。イシェは彼の歌声に苦笑しながらも、心の中で bard の音楽に合わせて歩いているような感覚になった。
遺跡の入り口でテルヘルが待っていた。彼女はいつもより表情が硬く、剣を握り締めていた。「何かあったのか？」ラーンの問いに、テルヘルは僅かに頷いた。
「ヴォルダンから情報を得た。遺跡には危険な罠があるらしい。慎重に進まなければならない。」
イシェは緊張した。しかし、テルヘルの言葉に隠された何かを感じ取った。まるで、 bard の音楽のように、その音符の隙間にある何かを伝えるような。
遺跡内は薄暗く、不気味な静けさだった。ラーンはいつものように先頭を切り進んだが、イシェはどこか落ち着きがなく、テルヘルの言葉が頭から離れなかった。
突然、床が崩れ、ラーンは深い穴に落ちてしまった。イシェは叫び声を上げ、駆け寄ろうとしたその時、テルヘルが彼女の腕を掴んだ。
「待て、イシェ。これは罠だ。」
テルヘルは冷静に状況を判断し、隠された通路を見つけ出した。イシェはテルヘルの行動に驚きながらも、 bard の音楽のように、その旋律を頼りに進むことにした。