「おい、イシェ、この紋章見たことあるか？」ラーンが埃まみれの石版を指差した。イシェは眉間に皺を寄せながら、石版に刻まれた複雑な模様を眺めた。「初めて見るわ。でも、どこかで...」彼女は言葉に詰まった。
「おいおい、何だその不気味な顔は？」ラーンが笑い、石版をポケットに突っ込んだ。「大穴の入り口には rune が刻まれてるって聞いたもんな。これかも、な！」
イシェはラーンの無神経さにため息をついた。「そんな単純な話じゃないわよ。この遺跡...何か変だと思う。」
その時、後ろから低い声が響いた。「確かに、変です。」
ラーンとイシェが振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女の目は鋭く、石版をじっと見つめていた。「この遺跡はヴォルダンに関係している可能性が高い。あの紋章は、かつてヴォルダンが支配していた地域で使われていたものだ」
「ヴォルダン？」ラーンの顔色が変わった。「そんな...まさか。」
テルヘルは頷き、「この遺跡には危険があるかもしれません。でも、我々が先にヴォルダンの秘密を手に入れることができれば、彼らに立ち向かうことができるでしょう」
イシェは不安そうに言った。「でも、なぜ私たちが？」
テルヘルの目は燃えていた。「あなたは、ラーン。そしてあなた、イシェ。私はあなたたちに力を与える。この遺跡の奥深くには、ヴォルダンを打ち砕くための鍵があるはずです。」
ラーンの瞳に火が灯った。「わかった。俺たちは行く！」
イシェはためらいながらも、ラーンとテルヘルの後ろについて遺跡の奥へと進んでいった。彼女たちは、ヴォルダンの影から逃れるため、そして自分たちの未来のために、危険な道を選択したのだ。
遺跡の奥深くでは、歴史が眠り、革命の火種が燃え始めていた。