ラーンの豪快な笑いが、遺跡の薄暗い奥深くまでこだました。イシェは眉間にしわを寄せながら、彼の背後から「本当にあの穴を崩す必要があるのか？」と呟いた。ラーンは気にも留めず、錆び付いた剣で石を叩き割った。「ほら見て、イシェ！こんな場所にあるなんて、きっと何か大したtreasureがあるに違いない！」
イシェはため息をつきながら、彼の手伝いをする。テルヘルは少し離れた場所で、壁画の複雑な模様を解読していた。彼女の顔は影に覆われており、表情を読み取るのは難しい。「この遺跡は、かつてヴォルダン王朝の支配下にあったようだ」と彼女は静かに言った。「そしてこの記号…これは、王家に仕えた魔法使いたちの紋章だ。」
ラーンの目は輝き、興奮した声で「つまり、何か強力な魔法アイテムが眠っているってわけか！」と叫んだ。イシェは顔をしかめた。「そんなものが見つかる可能性なんて、ほとんどないでしょう。それに…」彼女は少し言葉を濁しながら言った。「この遺跡の調査を依頼したのはテルヘルさんですよね？彼女が何か目的を持っているのかもしれません。」
ラーンの表情は曇り、「お前はいつもそうだな、イシェ。楽しめない奴だ」と呟いた。テルヘルが顔を上げ、鋭い視線で彼らを見た。「私の目的は、あなたたちには関係ありません。ただ、この遺跡の秘密を解き明かすためには、あなたの協力が必要です。」
その時、壁の奥から不気味な音が聞こえてきた。石の粉塵が舞い上がり、影が揺れる。ラーンの表情は一変し、剣を握り締めた。「何かいるぞ！」と彼は叫んだ。イシェも緊張した様子で、後ろに下がった。テルヘルは冷静さを保ちながら、壁画を見つめていた。
「これは…」彼女はため息をつき、「我々が思っていた以上に、この遺跡には危険な秘密が眠っているようだ」と言った。彼女の目は、どこか悲しげな光をたたえていた。そして、その言葉から感じ取れるのは、単なる好奇心や探求心ではない何か、深い執念のようなものだった。