ラーンが興奮気味に遺跡の入り口を見つめていると、イシェは眉間に皺を寄せた。
「またしても、そんな危険な場所へ?」
「だがイシェ、今回は違うぞ!この遺跡の壁画を見たか?明らかに古代の技術が使われているんだ。もしかしたら、大穴への手がかりがあるかもしれない!」
ラーンの瞳に燃える炎が、イシェの冷静さを溶かすようだった。テルヘルは二人がやり取りをしながらも、じっと遺跡の様子を伺っていた。彼女の視線は遺跡の奥深くへと向けられ、そこに何かを読み取ろうとしているかのようだ。
「よし、準備はいいか?今回は特に注意が必要だぞ」とラーンが言うと、イシェは小さく頷く。テルヘルは静かに剣を構え、三人で遺跡に足を踏み入れた。
遺跡内部は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。壁には奇妙な文様が刻まれ、時折不気味な音が響いていた。ラーンの足取りは軽快だったが、イシェは慎重に周囲を観察していた。テルヘルは常に警戒を怠らず、鋭い視線で遺跡の奥底を伺っていた。
すると、突然床が崩れ、ラーンは深い穴に転落してしまった。イシェが慌てて駆け寄ると、ラーンの姿は既に闇の中に消えていた。「ラーン!」
イシェの声が響き渡る中、テルヘルは冷静さを保ち、穴の周囲をくまなく確認した。そして、壁の一部分に奇妙な模様を発見した。それはまるで、古代文明の記号のようだった。
「これは…」テルヘルは目を細め、その記号を指でなぞった。「この遺跡には、まだ見ぬ秘密が隠されているようだ」
イシェはラーンの安否を心配しながらも、テルヘルの言葉に引き込まれていく。そして、彼女自身もこの遺跡の謎を解き明かす必要があると感じ始めた。
三人は協力してラーンを助け出す方法を探し始めるが、その過程で遺跡の真の姿が徐々に露呈していく。それは、予想を超えた壮絶な歴史と、それを守る者たちの存在だった。