「よし、今回はここだな!」
ラーンが、興奮気味に地図を広げた。イシェは眉間に皺を寄せ、地図をじっと見つめた。
「また、あの辺りか? ラーン、あの遺跡は危険だって聞いたことがあるぞ。何でそんなに insistence するんだ?」
「だって、あの遺跡には古代の武器が眠ってるって噂だろ? 一撃でヴォルダンの兵を倒せるような武器だなんて、想像するだけでワクワクするぜ!」
ラーンは目を輝かせた。イシェはため息をついた。
「そんな夢物語を信じてどうするんだ? それに、あの遺跡はヴォルダン軍が頻繁に監視しているって聞いたぞ。見つかったら終わりだぞ」
「大丈夫、大丈夫! テルヘルが言うように、僕たちのスキルならなんとかなるさ!」
ラーンの言葉にイシェは不安を感じた。テルヘルは確かに優秀な探検家だが、彼女の目的は遺跡の探査ではなく、ヴォルダンへの復讐だった。イシェは彼女が自分たちを危険な目に遭わせる可能性があるのではないかと疑っていた。
「よし、準備はいいか? 今日は大穴を開けるぞ!」
ラーンの興奮を抑えきれない声に、イシェはため息をついた。
遺跡へと続く道は険しく、暗かった。時折聞こえる動物の咆哮が、彼らの不安を煽った。
「ここからは慎重に進もう。何かあったらすぐに知らせてくれ」
イシェがつぶやくと、ラーンはうなずいた。テルヘルは先頭を歩いていたが、彼女の背中はどこか緊迫していた。
遺跡の入り口には、ヴォルダン軍の監視員が配置されていた。イシェは心臓が激しく跳ね上がるのを感じた。ラーンの計画は成功するのか?
「今だ!」
ラーンの声と共に、テルヘルが突然走り出した。イシェは驚いて振り返ると、ラーンが剣を抜き、敵兵に立ち向かっていた。激しい剣戟の音と、敵兵の絶叫が響き渡った。
イシェは震え声で叫んだ。
「ラーン!」