ビレーの街はずれにある酒場で、ラーンが豪快に笑っていた。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の肩を叩いた。「また大口を叩いてるじゃないか。あの遺跡で財宝が見つかるなんて、一体どこからそんな自信があるんだ？」
ラーンの笑顔は少し曇った。「いや、今回は違うって！俺には感じるんだよ、今回は何かが…。」
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女の黒いマントに濡れた雨粒が光っていた。「準備はいいか？今日こそ、あの遺跡の奥深くに進むぞ。」
イシェはテルヘルの冷徹な眼差しを避けながら、「今日は雨が降ってるし、遺跡に入るには危険すぎるんじゃないのか？」と尋ねた。
「雨など関係ない。むしろ、雨は邪魔者たちを遠ざけるだろう。」テルヘルはそう言い残し、テーブルに置かれた地図を広げた。その地図には、ビレー周辺の遺跡が複雑に描かれていた。
ラーンは興奮気味に地図を指さした。「今日はあの迷宮状の通路に挑戦だ！きっとそこで何かが見つかるはず！」
イシェはため息をつきながら、「いつも通り、計画性がないな…」と呟いた。しかし、テルヘルの鋭い視線を感じたので、仕方なく頷いた。
三人はビレーの街を後にして、雨の中へと歩を進めた。ビレーから遺跡までは、険しい山道が続く。雨音は次第に激しくなり、視界を遮るほどになった。
「まさか、こんな雨の中で遺跡に入るなんて…」イシェは不安そうに呟いた。
ラーンの顔色が変わった。「イシェ、何か聞こえるか？」
イシェは耳を澄ました。遠くから、かすかに金属音と人の声のようなものが聞こえてきた。
「誰かいるぞ！」ラーンが剣を抜くと、テルヘルも daggersを手に取った。三人は警戒しながら、遺跡へと近づいていった。
雨音が激しくなり、まるで鼓動のように響き渡る中、遺跡の入り口にたどり着いた。そこには、何人もの武装した男たちが立っていた。彼らはヴォルダンの兵士だった。