「よし、今日はあの遺跡だな!」ラーンが拳を握りしめ、地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せながら地図に視線を落とす。「またそんな危険な場所?」
「大丈夫だ、イシェ!今回はきっと大穴があるぞ!」ラーンの瞳は輝き、イシェの心配を振り払うように言った。「それにテルヘルが報酬を上げてくれたんだろ?あの遺跡の奥深くには貴重な遺物があると噂されてるらしいぜ」
テルヘルは冷めた目で二人を見下ろす。「噂に惑わされるな。私は確実な情報に基づいて行動する。お前たちには危険を冒してもらう代わりに、成果に見合った報酬を与えるつもりだ」
ビレーの街はずれにある遺跡は、かつて何らかの集団が築いた巨大な建造物だった。崩れかけた石造りの壁に絡まる蔦、崩落した天井からは日差しが差し込み、埃が舞う中をラーンとイシェは慎重に進んでいった。テルヘルは後方から二人を見つめていた。
遺跡の奥深く、蜘蛛の巣が張る暗い部屋にたどり着いた時、壁に奇妙な模様が刻まれていた。それはまるで何らかの文字のようでありながら、解読不可能な記号だった。「これは一体…」イシェが呟く。その時、床から不気味な音が響き渡り、部屋の奥から影がゆっくりと現れた。
ラーンは剣を抜いて前に出た。「誰だ!出てこい!」
影が近づくと、そこには何者かの集団の姿があった。彼らは荒々しい服装を身にまとい、鋭い眼光で三人を見下ろしていた。リーダー格の男は、口元に傷跡のある強面な男だった。
「ここは俺たちの縄張りだ。勝手に立ち入りするな」男は低い声で言った。「お前たちは一体何者だ?」
ラーンは一瞬言葉を失った。イシェはテルヘルに助けを求めるように視線を向けると、テルヘルは冷静に状況を分析していた。「ここは危険だ。撤退しよう」とささやく。だが、ラーンのプライドは傷ついていた。「待て!俺たちはビレーから来た探検隊だ。遺跡の調査をしているんだ!」
男は嘲笑した。「探検隊?そんなものには見えんぞ。お前たちは何かを隠している」集団のメンバーが剣を抜いて囲んでくる。
緊迫した空気の中、ラーンはイシェとテルヘルに「逃げるんだ!」と叫びながら、敵に向かって突撃した。三人の運命は、この遺跡の奥深くで決まることになる。