「おいラーン、あの奇妙な紋章みたいなの、見たことあるか?」イシェが指さすのは、遺跡の奥深くで埃をかぶった石柱に刻まれた複雑な模様だった。ラーンは肩をすくめた。「知らねえよ。こんなの見たことないぞ」
「やっぱりか…」イシェは眉間にしわを寄せた。「この遺跡、なんか違う気がするんだ。あの紋章、他の遺跡でも見かけたことがあるような気がするんだけど…」
その時、突然地面が激しく振動した。石柱が崩れ落ち、天井から岩屑が雨のように降り注いだ。「なんだこれは!」ラーンは剣を抜いて周囲を見渡した。イシェも慌てて身を隠す。
「テメーら、逃げろ!」テルヘルが叫んだ。「これは罠だ!」
その時、石柱の跡から不気味な光が漏れ始めた。光は広がり、やがて球状にまとまり、空中を漂い始めた。球体はゆっくりと回転し、まるで生きているかのように脈打つように光り輝いていた。
「何だあの光は…」ラーンの声が震えた。「イシェ、これは一体…」
「わからない…」イシェは目を丸くして光を見つめた。「でも、何か悪い予感がする…」
球体はさらに大きくなり、やがて天井にぶつかり、そこから奇妙な模様を放ち始めた。模様は壁や床に広がり、まるで生きているかのように蠢いているようだった。そして、その模様が合わさると、巨大な集合体のようなものが浮かび上がった。
ラーンとイシェは言葉を失い、ただ光る集合体に圧倒された。テルヘルは冷静さを保ち、剣を構え直した。「これはヴォルダンが仕組んだ罠だ。あの紋章…あの集合体…ヴォルダンが何らかの目的で集めているものなんだ!」
「ヴォルダンか…」ラーンは歯を食いしばった。「奴のせいでこんな目に遭うとは…絶対に許さない!」