ビレーの朝焼けが、ラーンの寝癖をより一層ひどくなるように照らしていた。イシェはすでに awake 、薄暗い部屋で地図を広げ、遺跡の出入り口について何か呟いていた。
「今日はあの洞窟だな。テルヘルが言うには、そこには未開の通路があるらしい」
ラーンはあくびしながら起き上がり、イシェの言葉を遮った。「未開ってことは罠だらけじゃないか? それに、テルヘルはいつもそんなこと言うよな。」
イシェは地図を指さした。「でも今回は違うと思う。テルヘルがヴォルダンについて何か調べているらしい。あの洞窟に関係がある何かが隠されているんじゃないか…」。
ラーンの顔色が変わった。ヴォルダン…。彼らにとって、それは単なる大国ではなく、何か恐ろしい影のような存在だった。
「まさか…」
イシェは頷きながら続けた。「テルヘルはヴォルダンとの関連を隠しているようだけど、何かを知っているはずだ。あの洞窟には、彼女が復讐のために必要なものがあるのかも…」
ラーンの胸に、緊張と興奮が渦巻いた。大穴を見つけることだけが目的だったはずなのに…。イシェの言葉は、彼らをより大きな渦の中に引きずり込むように感じた。
テルヘルが到着した時、三人はすでに準備万端だった。彼女はいつも通り鋭い目で二人を睨み付け、「準備はいいか?あの洞窟には危険が潜んでいる。覚悟しておけ」と言った。
洞窟の入り口は闇に覆われていた。ラーンが剣を手にすると、イシェは慎重に足取りを確かめながら進んだ。テルヘルは後ろから二人を見下ろすように歩いていく。
洞窟内は不気味な静けさに包まれていた。石壁には奇妙な模様が刻まれており、まるで何かを訴えかけるかのように見えた。
「ここからは慎重に…」とイシェが言葉を挟もうとした時、床の石板が崩れ落ちた。ラーンが咄嗟にイシェを引っ張り上げると、その隙間から巨大な影が現れた。それは何かの獣のような形をした、漆黒の怪物だった。
「なんだこれは!」ラーンの剣が光る。しかし、その怪物はラーンの攻撃を軽々とかわし、鋭い牙をむき出した。
「逃げろ!」イシェの叫びが洞窟に響き渡った。三人は慌てて後ずさっていくが、怪物は容赦なく迫ってくる。
その時、テルヘルが立ち塞がり、剣を構えた。「我々を阻むものなど…存在しない」と彼女は冷たく言った。その目は、まるで燃えるような光を放っていた。