「よし、今日はあの遺跡だな」ラーンが地図を広げ、太い指で地点を指さした。イシェは眉をひそめた。「また危険な場所かい？ 今回は慎重に進みたいわよ。あの大穴の話は本当なのかしら？」
「ああ、本当だ！ きっとあの遺跡にあるはずだ。俺たちにはこの街に帰る理由がないんだ！」ラーンは拳を握りしめ、熱っぽく語った。イシェはため息をつき、地図を広げた。「よしわかったわ。準備はいいの？」テルヘルが鋭い目で二人を見据えていた。「今回は特に慎重に進まなければ。ヴォルダンからの情報によると、あの遺跡には強力な罠があるらしい」
「罠？ そんなこと関係ない！俺たちはラーンだ！」ラーンの豪快な笑いが響く中、イシェはテルヘルにささやいた。「本当に大丈夫かしら？」
「心配するな。私は彼らをコントロールできる」テルヘルは自信満々に言った。その目は氷のように冷たかった。
遺跡への入り口は崩れかけていて、暗闇が漂っていた。ラーンの持つランタンの光だけがわずかな希望を灯す。イシェは背筋が凍るような感覚に襲われた。「何かいる気がする…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が守る」ラーンが剣を構え、前へ踏み出した。その時、地面が揺れ始めた。壁から奇妙な音が聞こえてくる。
「罠だ！」テルヘルが叫んだ瞬間、床が崩れ落ち、三人は暗い穴に吸い込まれた。
「ぐっ…どこだ？」ラーンは立ち上がり、目をこすった。そこは狭い洞窟だった。薄暗い光が差し込み、壁には奇妙な模様が刻まれていた。「ここは…」イシェが呟く。「あの遺跡の奥深くにある隠れ家…聞いたことがあるわ」
テルヘルは冷静に周囲を見渡した。「ここに何かがあるはずだ。そして、それはヴォルダンにとって重要なものだろう」彼女は鋭い視線でラーンとイシェを見た。「お前たちは私の指示に従え。大穴を見つけ出すのだ」