「おい、ラーン!あの石碑、どうだ?」イシェの指さす方向には、苔むした石碑がひっそりと立っていた。ラーンは眉間にしわを寄せた。「なんだこれ?いつもと違うな。イシェ、お前、この遺跡の地図、ちゃんと見てきたのかい?」
「もちろんよ。ここに記されているのは、古代文明の王墓の入り口だと」
テルヘルが口を開いた。「王墓か。興味深い。そして、この遺跡の真下に位置する可能性が高い。もしそうならば、貴重な遺物が見つかる可能性も高い」彼女の目は光り輝いていた。ラーンの心は高鳴った。莫大な財宝を手に入れる夢が、目の前に広がっているような気がした。
「よし、行こう!イシェ、地図に従って進め!」ラーンは剣を構え、石碑の影に潜み始める。イシェはため息をつきながら、彼の後を追った。テルヘルは彼らの後ろからゆっくりと足取りを進めた。
遺跡内部は湿気で重く、薄暗い光が差し込むだけで、不気味な雰囲気が漂っていた。壁には古代文字が刻まれており、ラーンはそれを理解しようと試みたが、意味の分からない記号ばかりだった。イシェは地図を指さしながら、慎重に道を進んだ。
やがて、彼らは広間に出た。天井は高く、壁には鮮やかなフレスコ画が描かれていた。中央には、石でできた祭壇が置かれており、その上に金色の棺が安置されていた。
「王墓だ…」イシェは息を呑んだ。「古代文明の王が眠る場所か…」ラーンは興奮を抑えきれず、棺に近づこうとしたが、テルヘルが手を止めた。「待て!何か罠があるかもしれない」彼女は慎重に祭壇の周りを確認した。
すると、祭壇の足元に小さな石畳を発見した。石畳には複雑な模様が刻まれており、中央には赤い宝石が埋め込まれていた。
「これは…!」テルヘルの顔色が変わった。「古代の封印魔法だ!触れると危険だ!」彼女はラーンを引っ張り戻そうとしたが、その時、ラーンの足元に小さな影が落ちた。それは、小さな女の子の姿だった。
「お母さん…」女の子は泣きじゃくりながら、ラーンの足に抱きついた。ラーンは驚愕した。「おい、お前は何者だ?」
女の子は目を上げ、涙を拭いながら言った。「私は…あなたの娘です」