ラーンが遺跡の入り口で、いつものように大きな声で宣言した。
「よし、今日は必ず大穴を見つけるぞ！イシェ、テルヘル、お前らも覚悟しとけ！」
イシェはため息をつきながら、ラーンの背中に手を当てた。「いつもと同じこと言ってるわよ。大穴なんて、そんな簡単に出てくるわけないでしょ」
テルヘルは鋭い目で遺跡の壁を見つめていた。彼女の目的は遺跡探査ではなかった。ヴォルダンに奪われたものを取り戻すため、彼女は情報を集めていたのだ。そして、この遺跡には何か隠されていると感じていた。
「大穴か…」と呟きながら、テルヘルは小さな瓶を取り出した。中には、不気味な赤色の液体が満たされていた。これは、彼女がヴォルダンから盗み出した、古代の文献に記されていた秘薬だ。わずかな量でも、対象者の潜在能力を引き出す効果があるとされる。
「少しだけ試してみようかしら…」
テルヘルは瓶からほんの僅かばかりの液体を、ラーンの飲み物に混ぜた。ラーンは何も知らずにそれを gulp と飲み干した。
すると、ラーンの目は輝きを増し、今まで以上に力強く振る舞うようになった。洞窟の奥深くへと進むにつれて、彼の動きはより大胆になり、危険な場所にも躊躇なく入っていく。イシェが心配そうに声をかけると、ラーンはにやりと笑って言った。「大丈夫だ、イシェ。今日は俺の体が熱いんだ！」
テルヘルは微笑んだ。
「そうか、秘薬の効果が出始めたようだ…」
遺跡の奥深くでは、ラーンの活躍によって新たな通路が開かれた。そこには、誰も見たことのない古代の装置が鎮座していた。その装置から放たれる光が、まるで隠された真実を照らし出すかのようだった。
イシェは目を丸くした。「これは…一体何？」
テルヘルは静かに言った。「これが、私が探しているものの一つなのかもしれない…」