「よし、ここだな！」ラーンが興奮気味に声を上げると、イシェは眉間に皺を寄せた。「またあの薄暗い洞窟か？ ラーン、本当にここが遺跡の入り口なのか確信があるのか？」
「大丈夫、イシェ。今回は違うぞ！ この石畳の模様、明らかに古代文明のものだ！」ラーンの目は輝いていた。イシェはため息をつきながら、テルヘルに視線を向けた。「どうする、テルヘル？」
テルヘルは石畳を慎重に観察し、「ここなら可能性はある。だが、注意深く進もう。」と静かに言った。
洞窟内部は暗く湿っていた。ラーンが先頭を切って進んでいくと、イシェは後ろから彼の手を掴んだ。「急ぐな、ラーン。罠があるかもしれないぞ。」ラーンの背後からテルヘルが続く。彼女の視線は鋭く、周囲を警戒しているように見えた。
奥深く進むにつれて、洞窟の壁に古代文字が刻まれているのが見つかった。「これは...！」イシェが声を上げた。「これはヴォルダン軍が使用していた言語だ！」
「ヴォルダン？」ラーンの表情が曇った。「まさか、ここがこの遺跡を陥落させたヴォルダンの手によって...」
その時、洞窟の奥から不気味な音が響き渡った。石畳が崩れ始め、天井からは砂埃と石が降ってくる。イシェは慌ててラーンを引っ張る。「逃げろ！」
だが、すでに遅かった。崩落が始まり、三人は必死に近くの柱に掴まった。
「これは...！」テルヘルの顔色が青ざめた。
崩れ落ちる天井の隙間から見えたのは、巨大な機械装置だった。ヴォルダン軍が遺跡を陥落させるために仕掛けたものだ。そして、その装置は今、再び動き始めたのだ。