ラーンが興奮気味に遺跡の入り口前で剣を構えると、「また大穴だ!」と叫んだ。イシェはいつものように眉間に皺を寄せ、「ラーン、落ち着いて。今回は調査依頼の内容をよく確認してからにしよう。」と冷静に言った。
「そう言っても、テルヘルさんがくれた地図には明らかに何かあるって書いてあるだろ?あのシンボル、見たことないぞ?」ラーンは目を輝かせた。イシェは地図を確かめた。「確かに...だが、あのシンボルはヴォルダン帝国の遺跡で使われていたものだ。危険な可能性もある」と答えた。
テルヘルは鋭い目で二人を見下ろした。「臆病者にはこの仕事は向いていない。報酬は約束通りだ。そして、今回の発見が成功すれば、さらに大きな報酬が手に入る。」彼女の言葉にラーンの目はさらに輝きを増し、イシェも渋々頷いた。
遺跡の中は湿気が高く、薄暗い光が差し込んでいた。壁には奇妙な文様が刻まれており、何とも不気味な雰囲気を漂わせていた。ラーンは先陣を切って進んでいき、イシェは慎重に後を追った。テルヘルは二人を見据えながら、何かを考え込んでいた。
しばらく進むと、広間に出た。中央には巨大な石棺が置かれており、その上には輝く宝石が埋め込まれていた。ラーンは興奮を抑えきれない様子で近づこうとした。「これは大穴だ!イシェ、見てろよ!」
その時、石棺の蓋が開き始め、そこから不気味な黒い煙が立ち上がった。煙が充満する中、ラーンの姿が見えなくなった。イシェが慌てて駆け寄ると、そこには倒れたラーンと、彼の足元にある黒い宝石があった。「ラーン!」イシェは彼に駆け寄り、声をかけた。
「イシェ...」ラーンは苦しそうに言った。「あの宝石...闇値だ...」
テルヘルは冷静に状況を分析していた。「闇値か...今回は危険すぎる。撤退だ。」と彼女は言った。イシェはラーンの手を握りしめた。「大丈夫、ラーン。必ず助け出すから。」だが、ラーンの顔は蒼白で、意識は朦朧としていた。
闇値の呪いにかかったラーンを救うためには、さらに深い遺跡へ潜らなければならなかった。イシェは決意を固めた。「テルヘルさん、私と一緒にラーンを助けてください。私は...闇値の真実を知りたいんです。」