「おい、ラーン、今日はあの遺跡行こうぜ！」 イシェの提案に、ラーンはいつものようにニヤリと笑った。「おう！いいぞ！今日こそ大穴が掘れる気がするんだ！」
ビレーの街を見下ろす丘の上で、二人はいつも通り軽食をとりながら遺跡探しの計画を練っていた。イシェは地図を広げ、慎重に場所を確認する。一方、ラーンは剣を磨きながら、すでに財宝の山を築いている自分を想像しているようだった。
「でも、あの遺跡って結構危険だって聞いたんだけど…」 イシェが心配そうに言うと、ラーンの笑顔は一瞬曇った。「大丈夫だ！俺が守るからな！」 彼の言葉に、イシェはため息をついた。ラーンは勇敢だが、計画性がない。いつもイシェが後始末をすることになるのだ。
その時、背後から声が聞こえた。「準備はいいですか？」
振り返ると、テルヘルが立っていた。黒曜石のような瞳が鋭く二人を見つめる。彼女は、ヴォルダンへの復讐のために遺跡の探査を依頼した人物だ。冷酷な美しさを持つ彼女は、ラーンとイシェには理解できない過去を抱えているようだった。
「よし、行こう！」 ラーンの言葉に、イシェは渋々頷き、三人は遺跡へと向かった。廃墟となった城壁がそびえ立ち、朽ち果てた石造りの階段が続く遺跡は、まるで過去の栄華を偲ばせる墓のようだった。
遺跡の中心には、巨大な扉があった。扉には複雑な紋章が刻まれており、テルヘルは慎重に観察しながら、古い書物から持ち出した資料と照らし合わせていた。
「ここは、かつてある閨閥が支配していた場所だ。この扉には強力な魔法がかけられている」 テルヘルの言葉に、ラーンは興奮気味に剣を構えた。
「よし！この扉を開けて、大穴を見つけてやる！」 彼の言葉を聞いたイシェは、不安を感じながらも、ラーンの後ろから続くように遺跡の中へと足を踏み入れた。彼らは、遺跡の奥深くへと進んでいくにつれて、徐々に危険な罠に遭遇するようになる。
そして、ついに扉の前に辿り着いた時、扉はゆっくりと開き始めた。その向こうには、かつて閨閥が秘めた財宝が眠っているはずだった…。