「よし、今日はあの崩れかけた塔だ!」
ラーンが拳を握りしめて叫ぶ。イシェはいつものように眉間に皺を寄せながら地図を広げた。
「またあの塔か? ラーン、何度言ったら分かるんだ。あの塔は危険だぞ。以前も言っただろう、地元の長老が『呪われている』と言っているではないか」
「呪いなんて気にしなくていいって! イシェ、お前はいつもつまらないことばかり言うんだよ!」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。確かにあの塔は崩れかけていて危険だが、ラーンにとっては「大穴」への手がかりがあるかもしれないという可能性が魅力的なのだ。
そこにテルヘルが静かに口を開いた。「イシェの言う通りだ。あの塔は危険だ。しかし、今回は様子を見ることにしよう。私は情報を得た。塔の地下には何かあるらしい。ただし、それはヴォルダンにも知られているようだ。」
ラーンの顔色が変わった。ヴォルダンは常に脅威だった。テルヘルが復讐を誓う相手であり、エンノル連合にとって最も危険な大国だ。
「ヴォルダンか…だとしたら、俺たちが先取りしなきゃならないな」
ラーンは剣を握りしめると、イシェとテルヘルの視線を合わす。長老の警告を無視して、彼らは呪われた塔へと向かう決意をした。