ラーンの巨大な斧が石壁を粉砕した。埃埃が舞う中、イシェは鼻をつまんで「また無駄な力技だな」とため息をついた。
「ほら、何かあるかもって! 早く見ろよ!」
ラーンは興奮気味に石の破片をどかせた。そこには何もなかった。「あ・・・」ラーンの顔色が曇る。イシェは小さく笑った。「言っただろう。計画性がないからダメだ」
その時、後ろから冷たげな声がした。「計画性? そんなもの必要ない。ここには何かあるはずだ」テルヘルが近づいてきて、石の床を指さした。「この模様、どこかで見たことがある・・・」
彼女は懐から小さな本を取り出した。古びたページをめくりながら、目を細めた。「古代ヴォルダン語の文献だ。ここに同じ模様が・・・」彼女の言葉は途絶えた。
「どうした?」ラーンの顔色がさらに悪化した。イシェも緊張感に包まれた。テルヘルはゆっくりと口を開いた。「ここはヴォルダンの遺跡の一部だった。そして、この模様は・・・」彼女は息を呑んだ。「封印の紋章だ」
ラーンの斧が地面に落ちた。イシェは背筋が凍りつくのを感じた。封印された何か。それは何なのか? そして、なぜヴォルダンがここに遺跡を築いたのか?
テルヘルの目は燃えるように輝き、「この封印を解けば、ヴォルダンの秘密が明かされる」と呟いた。ラーンは震える手で斧を拾い上げた。「あの大穴・・・」イシェは言葉を失った。長かった沈黙の後、彼女は小さく言った。「行くしかないね」。
三人の影は遺跡の奥深くに消えていった。