ラーンの大 hammer が石壁を砕き、埃が舞った。
「よし、ここかな?」
イシェが懐中電灯の光を当てながら、壁に刻まれた複雑な文様を確かめた。
「この遺跡、本当に危険な噂があるらしいな」
ラーンは眉間にしわを寄せた。彼らにとって遺跡探索は日課であり、危険と隣り合わせの仕事だった。しかし、今日のイシェの様子はどこか落ち着きがない。
「テルヘルが言ってたように、ヴォルダンの兵士が遺跡を狙ってるって話も聞いたんだ」
イシェは言葉を濁した。テルヘルはいつも冷静沈着だが、今回は何かを隠しているように見えた。
「あの女の過去は謎だらけだ。一体何のためにこんな危険な場所に?」
ラーンは剣を構えながら呟いた。長い間、テルヘルの目的を知ることはできなかった。ただ、彼女がヴォルダンへの復讐を誓っていることは分かっていた。その復讐心が、彼らを危険な場所へと駆り立てる原動力となっていたのだ。
「さあ、行こう」
イシェは深く息を吸い込み、遺跡の奥へと足を踏み入れた。暗い通路に続く階段が続く。長い年月を経て朽ち果てた石畳の上を、ラーンの重厚な足音が響く。彼らには、遺跡の奥底に眠る謎と、テルヘルの真意が待ち受けていることを知る由もなかった。