日差しが容赦なく照りつける遺跡の入り口で、ラーンは鼻を鳴らした。「今日も暑いな」。イシェは視線を遺跡の奥深くにやった。「今日は慎重に進もう。昨日のあの崩落を見てると、どこかに罠が仕掛けられてるんじゃないかと」。ラーンは軽く笑った。「心配しすぎだ。俺たちは運がいいんだろ?ほら、昨日もあの宝箱が見つかっただろ?あいつらより先にここを探索するなんて、まさに大穴発見のチャンスだ!」
テルヘルが鋭い目で周囲を警戒しながら言った。「油断するな。遺跡には常に危険が潜んでいる。特に今回はヴォルダンとの関係から、さらに注意が必要だ」。ラーンの無茶な行動にイシェはいつも呆れているが、テルヘルの冷静さと洞察力は頼りになる存在だった。
彼らは遺跡内部へと足を踏み入れた。崩れかけた石柱や苔むした壁が、かつて栄華を極めた文明の痕跡を物語っていた。ラーンは興奮気味に、遺跡の奥深くに目を輝かせながら言った。「きっと今回は何か大物が眠ってるぞ!」イシェはため息をつきながら、ラーンの後ろをついていった。テルヘルは三人の動きを常に警戒し、鋭い視線で周囲をくまなく見回していた。
遺跡の奥深くまで進むにつれて、空気が重くなっていった。まるで何かが彼らをじっと見つめているような気配を感じた。イシェは不安に襲われ、ラーンに言いかけたその時だった。地面が激しく揺れた。巨大な石像が崩れ落ちてくる音が響き渡り、ラーンを飲み込むように崩落した。イシェは絶叫し、テルヘルは素早くラーンの下に潜り込んだ。「ラーン!」
埃が立ち込める中、イシェの視界には、崩れた石の下で動かないラーンの姿があった。そして、その隣に輝く卵のような形をした物体があることに気がついた。それは遺跡の奥深くに眠っていた謎の遺物だった。テルヘルは、その卵を手に取り、ラーンの安否を確認するために必死に掘り始めた。