ラーンの大斧が遺跡の壁を粉砕した。埃が舞い上がり、薄暗い洞窟の中をさらに暗くした。イシェは咳き込みながら「また無駄なことを…」と呟いた。
「いや、今回は違うぞ！この壁、なんか変なんだよ。触ってみろよ」ラーンは興奮気味に言った。イシェはため息をつきながらも、壁に触れてみた。冷たい石の表面にわずかに温かみが感じられた。
「何か…反応がある？」
その時、壁から青い光が放たれ、洞窟全体を照らした。イシェは目を細めた。「これは…」
光が収まると、壁には複雑な模様が浮かび上がっていた。
「なんだこれ？」ラーンが近づき、指で模様をなぞった。「まるで…記号みたいだ」
「古代文字の可能性がある」テルヘルは冷静に言った。「この遺跡の奥には何か秘密があるのは間違いない。あの記号は、錬金術と関連している可能性もある」
「錬金術か…」イシェは興味津々に壁を眺めた。彼女は幼い頃に祖父から錬金術の話を聞かされていた。それは物質を変化させ、新たなものを生み出す神秘的な技術だった。
「よし、この記号を解読すれば、遺跡の謎がわかるかもしれない」ラーンは目を輝かせた。「そして、大穴が見つかるかもな！」
テルヘルはラーンの熱意を冷めた目で見ていた。彼女にとって重要なのは遺跡の秘密ではなく、ヴォルダンへの復讐だった。しかし、この記号がヴォルダンの弱点を暴く鍵になる可能性もあると感じていた。
「よし、この記号を解読する必要がある」テルヘルは言った。「イシェ、お前にはその知識があるはずだ」
イシェはため息をつきながら頷いた。彼女もまた、この遺跡の秘密、そして自分たちの運命に巻き込まれていくことを感じていた。