ビレーの朝の光が、まだ薄暗い遺跡の入り口を照らしていた。ラーンはいつものように大口を開けてあくびをした。「よし、今日も大穴だ！」彼の言葉は空虚な響きを持っていた。イシェはそんな彼をにらみつけながら、荷造りを続けていた。「今日はあの鋭利な石剣が眠っている遺跡に行くって聞いたぞ。気を引き締めないと」イシェの鋭い視線がラーンを少しだけ落ち着かせた。
テルヘルは二人を見下ろしながら言った。「今日の目標は遺物ではなく情報だ。ヴォルダンとの国境付近にある遺跡から、ある噂を聞き出した。危険な場所だが、我々の目的には繋がるかもしれない」彼女の言葉は冷たく、鋭く響いた。ラーンの軽いノリは消え、イシェの眉間に皺が寄った。
遺跡内部は、薄暗い空気に満ちていて、湿った土と石の匂いが漂っていた。ラーンの剣が、わずかに光る岩肌を削りながら進んでいく。「ここか？」テルヘルは鋭い視線で壁の模様を睨みつけた。「この記号…ヴォルダン軍が過去に何かを行った痕跡だ」イシェは驚いた。「こんな場所に？なぜ？」
突然、壁の一部が崩れ落ちた。ラーンの足元には鋭い石剣が突き刺さっていた。「しまった！」イシェの叫びと共に、崩れた壁から奇妙な生き物が現れた。その目は赤く光り、牙は鋭く研ぎ澄まされていた。ラーンは剣を構え、イシェは素早く後ろに下がった。テルヘルは冷静に状況を判断し、鋭い声で指示を出した。「ラーン、 distract it! イシェ、その石剣を回収するんだ！」
三人は息の合った動きで生き物と戦い始めた。ラーンの剣は生き物の体を引き裂き、イシェは機転を利かせて石剣を手に入れた。テルヘルは生き物を観察し、その弱点を見つけて攻撃した。最終的に、生き物は倒れ、静寂が戻った。
「無事だった…」イシェは息を切らしながら言った。ラーンの顔には興奮の色が浮かんでいた。「よし、これで大穴に近づくぞ！」だが、テルヘルは冷静な表情で言った。「まだだ。この遺跡の真実は、これから明かされる」彼女の鋭い視線は、遺跡の奥へと向けられていた。