「よし、今日はあの廃墟の奥へ入ってみようぜ！」ラーンの豪快な声は、ビレーの朝日を浴びて輝きを増す。イシェは眉間に皺を寄せた。「また突撃するのか？ ラーン。あの廃墟は危険だって何度も言ったじゃないか。地図もないのに奥深く進むのは無謀だ。」
「大丈夫大丈夫！俺が先頭を切って道を開けばいいんだ。それに、ほら、テルヘルさんが高額な報酬を出してくれるんだから、大穴が見つかるかもしれないぞ！」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。テルヘルの報酬は魅力的だが、その代償は常に危険と隣り合わせであることを彼女は知っていた。
廃墟の入り口は、まるで巨大な口を開けた獣のようだった。崩れかけた石柱が空に向かって伸び、その隙間から差し込む光は、まるで星屑を散らした宇宙の断片のように見えた。「ここって、昔はどんな場所だったんだろうね…」イシェはぼんやりと呟いた。
「そんなことより、早く入ろうぜ！」ラーンは剣を抜いて廃墟へと踏み入った。テルヘルが後ろから静かに続く。イシェは深呼吸をして、彼らの後を追った。
廃墟の内部は暗くじめじめとしていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、天井からは謎の植物が生えていた。まるで宇宙の闇に浮かぶ星雲のように、幻想的な美しさを感じさせるものもあった。だが、その美しさの裏には、何らかの危険が潜んでいるように思えた。
「何かいる…！」ラーンの声が響き渡った。イシェは振り返ると、影の中から巨大な虫のような生き物が姿を現していた。その体は漆黒で、鋭い牙を剥き出しにしてラーンへと襲いかかる。ラーンの剣が光り、激しい戦いが始まった。
「イシェ！逃げろ！」テルヘルは冷静に指示を出す。イシェは一瞬躊躇したが、ラーンとテルヘルの勇姿を見て、自分も戦う決意をした。彼女は素早く動き回り、敵の動きを封じようと試みた。
激しい戦いの末、三人は生き物を倒すことに成功した。だが、彼らの体は傷だらけで、息も絶え絶えだった。「まさかこんなところに…」イシェは疲れ切った様子で呟いた。
「この遺跡は…ヴォルダンと関係があるかもしれない」テルヘルは静かに言った。彼女の瞳には、遠い銀河に散らばった星々の様に、深い闇が宿っていた。