鈍重

動きや反応が遅く重いこと。

物語への影響例

変化への抵抗。安定性と停滞の両義性。速度と深さの相克。

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ラーンが石を蹴飛ばすと、それは鈍い音を立てて近くの壁にぶつかった。イシェはため息をつきながら地図を広げた。

「ここだな。遺跡の入口は、あの崖の上にあるはずだ。」

イシェの指が地図の一点を示す。ラーンの視線は、険しく切り立った崖の上へと向かう。

「おい、イシェ。あの崖を登るの? 冗談だろ?」

ラーンは眉間にしわを寄せた。崖は急峻で、岩肌は苔むして滑りやすそうだった。彼の鈍重な体には、あまりにも挑戦的なようだった。

「地図をよく見ろ。テルヘルが言っただろう。この遺跡には、ヴォルダンが探している遺物がある可能性があるって。」

イシェの言葉にラーンの表情が少しだけ緩んだ。ヴォルダンへの復讐のためなら、どんな困難も乗り越えられる。彼はそう自分に言い聞かせた。

「わかった。じゃあ、登ってみるか。」

ラーンは重い足取りで崖に向かって歩き出した。イシェは彼を後ろから追いかけ、地図を片手に慎重に道を進む。テルヘルは彼らの後方を見据えながら、静かに歩いた。

崖の上へ続く道は険しく、岩が崩れ落ちそうになっている場所もあった。ラーンの鈍重な足取りは、イシェの心配を増幅させた。

「気をつけて、ラーン!」

イシェの声が風に乗って届く。ラーンは振り返り、小さく頷いた。彼の顔には、どこか諦めの色があったように見えた。

「大丈夫だ、イシェ。俺はまだ死なない。」