ラーンが遺跡の入り口前で深呼吸をしていると、イシェが眉間にしわを寄せて言った。「またあの場所か? ラーン、あの遺跡は何度も探索しただろ。何も見つからないって。」
「いや、今回は違うって! イシェ、お前も分かってるだろ? この遺跡、なんか違う気がするんだ。」ラーンは自信たっぷりに答える。イシェはため息をついた。ラーンの鈍感さはいつもイシェを困らせる。だが、彼には他に選択肢がない。
「わかったわ。でも、今回は本当に最後の探索にするからね。」イシェがそう言うと、ラーンは目を輝かせた。テルヘルは冷静に周囲を見回し、「安全確認が終わりました。では、中に入ります」と告げた。
遺跡の中は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。彼らは慎重に足場を踏みしめながら進んだ。突然、ラーンの足元が崩れ、彼は転げ落ちてしまった。
「ラーン!」イシェが駆け寄ると、ラーンは笑いながら立ち上がった。「大丈夫だ! ちょっと転んだだけだ。」だが、イシェは彼の顔色を見て不安になった。ラーンの顔は蒼白で、額には冷や汗が滲んでいた。
テルヘルは冷静に状況を判断し、「彼は熱があるようだ。無理はさせない方が良い」と言った。ラーンは不服そうにうなずいたが、足取りが弱々しくなっていた。イシェはラーンの腕を支えながら、遺跡の出口へと向かった。
「大丈夫か? ラーン。」イシェが尋ねると、ラーンは苦しそうに笑った。「ああ、大丈夫だ…きっと…」だが、彼の言葉は途切れ、意識を失ってしまった。イシェは慌ててラーンを抱き上げ、テルヘルに助けを求めた。
「早く、安全な場所に連れて行こう!」テルヘルが言った。イシェはうなずき、ラーンの重みに耐えながら、出口へと stumbling walked. 鈍感なラーンの無謀さは、彼自身だけでなく、周りの者にも影響を与えることを、イシェは改めて実感した。