「おい、イシェ、今日はいい感じの場所見つけたぞ！」ラーンが興奮気味に言った。遺跡の入り口付近で、彼はいつもと違う輝きを放つ石ころを手に握りしめていた。
「またかよ、ラーン。そんな安っぽい石ころで見つけた気になるな」イシェはため息をついた。だが、ラーンの熱意にはどうすることもできなかった。
「今回は違う！これはきっと何か大物につながる！」ラーンの目は星のように輝いていた。
テルヘルは冷静に状況を判断していた。「いいでしょう。場所が分かれば、私は調査を進めます」彼女は鋭い視線で遺跡の周囲を見回し、地図にマーキングを書き加えた。
3人は遺跡内部へと足を踏み入れた。薄暗く湿った空気が彼らを包み込む。ラーンは剣を手に持ち、イシェは細長い針のような道具を携えて慎重に進んだ。テルヘルは後方を守りながら、時折地図を確認していた。
深く進むにつれて、遺跡の壁には複雑な模様が刻まれていた。イシェは真剣な表情でそれらを分析し、ラーンに説明を試みた。「これは古代の文字だ。この遺跡は、かつて強力な魔術師が住んでいた場所らしい」
「魔術師か…！」ラーンの目はさらに輝きを増した。「もしかしたら、財宝も残されているかもしれないぞ！」
しかし、遺跡の中ほどで彼らの前に立ちふさがる巨大な石扉が現れた。扉には複雑な鍵穴が開いており、簡単には開けることはできないようだった。
「どうする？」イシェが不安そうに問いかけた。
ラーンは考え込んだ後、こう言った。「金貸しから借りたお金で、扉を開けるための鍵を作るしかないだろう」
テルヘルは眉をひそめた。「金貸しとの約束は危険だぞ。利息が高すぎる上、返済できなかったら大変なことになる」
「だが、この扉を開けば、莫大な財宝が手に入るかもしれない。そのリスクに見合う価値があるはずだ！」ラーンの表情は固かった。イシェも、彼を説得しようとする気力はなかった。
テルヘルはため息をついた。「わかった。だが、もし失敗したら、責任はとってくれよ」
こうして、3人は金貸しから借金の元手に鍵を作成し、遺跡の奥へと進むことを決意した。しかし、扉の向こうには何が待ち受けているのか、誰にも知る由はなかった…。