ビレーの街はずれ、荒れた草むらに囲まれた廃墟。ラーンが巨大な石扉の前に立ち尽くしていた。イシェは彼の背後からため息をつきながら近づいてきた。「またか、ラーン。あの話、もういい加減にしてくれよ。」
「でもさ、イシェ。この遺跡、本当に古代の王の墓なんじゃないかな?もしかしたら、中には金貨の山が眠ってるかもしれないぞ!」
ラーンの目は輝いていたが、イシェは彼の熱意を冷めた目で見ていた。「そんな夢みたいな話に引っ張られるのはもうやめようよ。それに、テルヘルが言ってただろ?この遺跡は危険だと言ったじゃないか。」
「ああ、そうだな。でも、あのテルヘルはいつも不吉な話ばっかりするよな。それに、野分が近づいてるって言うし、そろそろ遺跡に潜るには絶好の機会じゃないか?」ラーンの口角がゆるんだ。
イシェはため息をついた。「わかったわかった。今回は君の言いなりにするよ。でも、もし何かあったら責任は取れないぞ。」
二人は廃墟に入り、石造りの通路を進んでいった。空気は重く、湿り気があり、不気味な静けさに包まれていた。壁には奇妙な模様が刻まれ、時折、野分によって吹き荒れた風の音だけが聞こえてきた。
「ここ、なんか変だな…」イシェは眉間にしわを寄せた。「この遺跡、まるで生きているみたいだ…」。
ラーンは気にせず、進んでいく。「そんなこと言ってる場合じゃないぞ!もうすぐ宝の山が見つかるぞ!」
しかし、その瞬間、地面が激しく揺れ始めた。天井から石が崩れ落ち、ラーンの足元を襲った。イシェは素早くラーンを引っ張り、難を逃れた。
「なんだこれは!」ラーンの顔色が変わった。「何かが起こってるぞ!逃げなきゃ!」
二人は慌てて遺跡の入り口に向かって走り出した。しかし、出口は崩れ落ちており、戻れない状況だった。その時、背後から低い唸り声が響き渡った。
「ラーン、イシェ…」テルヘルの冷徹な声が聞こえてきた。「野分の影響でこの遺跡が活性化してるんだ。もう逃げられない…。」