ラーンの肩が悲鳴を上げた。背負っているのはただのザックじゃない。遺跡探索に必要な道具類に加え、テルヘルが「安全のため」と強要したという謎の金属板まで詰め込まれている。イシェは軽快に足取りを早め、振り返ることもなく「休憩だなんて、言わないでね」とだけ告げた。
ラーンは息を切らしながらも、「おいおい、お前は一体何キロ分の荷物背負ってるんだ?」と苦笑いする。テルヘルは冷静な表情で言った。「必要最小限です。安全確保には妥協できません。」
その言葉はいつも通り、説得力に欠けていた。ラーンの背中の金属板は重く、動きを阻害した。イシェの機敏さは envy と怒りを同時に掻き立てた。だが、テルヘルに従うしか道はない。彼女の目的のためなら、どんな犠牲も厭わないらしいのだ。
遺跡の入り口に近づくにつれ、ラーンの不安は増していった。遺跡探索は危険が伴うものだ。重装備で行動を制限された上に、テルヘルの不気味な目的を考えると、まるで戦場へ行くような気がした。