ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが酒をぐいっと飲み干した。「また外れだな」。イシェが眉間に皺を寄せながら地図を広げた。「今日は本当に何も無かった。あの遺跡は本当にただの墓だったのかもしれない」。ラーンは肩をすくめた。「そんなことないさ、イシェ。いつか必ず大穴が見つかるって!俺にはそう感じるんだ」。
その時、背後から低い声が響いた。「見つけられなかったようだな」。テルヘルが鋭い目で二人を見下ろしていた。「あの遺跡は確かに何も無かった。だが、お前たちの探すものはそれだけではないだろう?」ラーンはテルヘルの言葉の意味を理解した。「そうだな、テルヘル。俺たちはまだ何も知らないんだ」。イシェは不安そうに言った。「一体何を探してるんだろう…」。
テルヘルは不気味な笑みを浮かべた。「それはお前たちが知るべきではないことだ。今はただ、指示に従うだけで良い」。ラーンの視線はテルヘルの鋭い目と交わった。その瞳の奥には、醜悪な欲望が渦巻いているように見えた。ラーンは背筋をぞっとさせながら、イシェに小さく頷いた。「わかった、テルヘル。俺たちは指示に従う」。