ビレーの酒場に響く笑い声に紛れ、ラーンはイシェの眉間に浮かぶ皺を見逃さなかった。「またあの顔か?」とラーンが冗談めかして言うと、イシェは「お前がいつも飲んだくれでいるからじゃないのか」とため息をついた。
今日は特に大した収穫もない遺跡探検だった。テルヘルは約束の報酬を渋々払うよう命じ、ラーンの無計画さにまたしても怒りをぶつけていた。「あの女は本当に俺たちを利用しているんだろうな…」イシェが呟くと、ラーンは酒をぐいっと飲み干して「ああ、そうかもしれない。でもな、彼女に利用されるくらいなら、俺たちには何もないだろ?」と笑った。
イシェはそんなラーンの楽観性に諦めを感じた。だが、彼もまた、どこかでラーンの言葉に共感していた。ビレーの狭い世界から抜け出すためには、テルヘルのような存在が必要なのかもしれない。
「よし、今日はこれで終わりだ。明日の遺跡探検の準備だな」とラーンは立ち上がり、イシェに手を差し伸べた。イシェも立ち上がる際、かすかに酔いの匂いがした。ラーンの顔には、いつものように Carefreeな笑顔が広がっていた。