ラーンが剣を抜き放つ音だけが、埃っぽい遺跡の静寂を破った。崩れそうな石柱の間をイシェが素早く動き、足元の落とし穴を見極めていた。
「おい、イシェ!こっちだ!」
ラーンの声が響き渡る。彼は興奮気味に、壁の一角にある奇妙な模様を指さした。それは複雑に絡み合った線と幾何学的な図形から成り、まるで古代の言語のように見えた。
「これは…見たことないぞ」
イシェは眉間に皺を寄せながら近づき、模様を慎重に観察した。その様子をテルヘルが冷酷な目で見ている。彼女は小さな袋から一枚のパーツを取り出し、慎重に壁に埋まった石塊と照らし合わせていった。
「ここに合うはずだ…」
テルヘルのつぶやきは、希望と執念に満ちていた。この遺跡は、彼女にとって単なる財宝を求める場所ではない。それはヴォルダンとの因縁を断ち切るための鍵となる、特別な場所だった。
突然、ラーンの叫び声が響き渡った。
「見つけた!何かあった!」
彼は壁の奥深くで、光るものを見つけたようだった。イシェが駆け寄ると、そこには小さな箱が置かれていた。金色の装飾が施されたその箱は、何物かの強力なエネルギーを放ち、周囲の空気を歪めていた。
「これは…遺物だ」
イシェの声は震えていた。彼女はかつて歴史書で読んだ内容を思い出した。この遺跡には、古代文明が残した伝説の遺物が眠っているという噂があったのだ。
テルヘルは興奮を抑えきれずに、箱に手を伸ばした。しかし、その瞬間、箱から強烈な光が放たれ、三人は目を眩まされた。そして、次の瞬間、彼らは姿を消した。