日差しが容赦なく照りつける砂漠を、ラーンとイシェは疲れ果てた足取りで歩いていた。テルヘルは先頭を歩き、時折振り返って「急げ」と促す。遺跡探査から既に三日。当初の計画では、二日目には目標地点に辿り着き、遺物の調査を終えてビレーへ帰る予定だった。だが、予想外の岩崩れで道が寸断され、迂回ルートを強いられたため、予定は大幅に狂ってしまった。
「もう限界だ…」イシェは砂埃まみれの顔をしかめながら呟いた。「この暑さで体も頭もぼーっとする…」
ラーンはイシェの肩を叩き、「元気を出せ、イシェ!もうすぐ着くぞ!」と励ますが、彼の声にも力が入っていなかった。
テルヘルは振り返り、「愚か者たち。 complaining している暇があったら、早く歩け。」と冷酷に切り捨てた。「目標地点まであと少しだ。そこで見つけた遺物は、我々の運命を変えるものになる。」
イシェはテルヘルの言葉に眉をひそめたが、ラーンは意を決したように頷いた。「そうだ!テルヘルさんの言う通りだ!俺たちは必ず大穴を見つける!」
夕暮れ時、彼らはようやく目標地点に到着した。崩れた石造りの建物跡で、かつて栄華を極めた遺跡の一部だと見られる。テルヘルは興奮気味に周囲を駆け回りながら、壁面にある複雑な模様を指差す。
「これが遺物だ。古代文明の知識が凝縮されたもの。この謎を解き明かせば、ヴォルダンに対する復讐を果たせる…」
ラーンとイシェはテルヘルの熱意に圧倒されながらも、疲れた体を引きずりながら遺跡内へと足を踏み入れた。しかし、その瞬間、崩れかけた天井から石が落下し、ラーンを直撃した。
「ラーーン!」イシェの叫びが響き渡る中、ラーンは意識を失い倒れ込んだ。イシェが慌てて駆け寄り、ラーンの安否を確認しようとする。
その時、テルヘルは静かに呟いた。「想定外の出来事だ…。しかし、遺命を果たすためにも、彼を犠牲にする必要があるのかもしれない…」
イシェはテルヘルの言葉に驚き、ラーンを見つめた。彼の顔には、まだ息をしているかどうかもわからないほど、血が滲んでいた。