ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを襲った。イシェは咳き込みながら懐中電灯を点け、薄暗い遺跡内部を照らした。そこは広々とした空間で、壁にはびっしりと古代文字が刻まれていた。「ここが噂の『王の墓』か…」ラーンの声が響く。
テルヘルは石畳の上を歩きながら、指先で壁の文字に触れた。「この遺跡は古い。少なくとも千年以上前のものだ。もしかしたら、ヴォルダンとの関連があるかもしれない。」彼女は冷徹な声で言った。
「ヴォルダン？」イシェが不安そうに尋ねた。「あの大国のこと？ なぜここに…」
テルヘルは答えずに、奥へと進んでいった。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた後、テルヘルの後を続いた。遺跡の奥深くには、金色の棺が安置されていた。その周りには、宝石や装飾品が散りばめられていた。
「 Jackpot!」ラーンは大声を上げた。「ついに大穴だ！」
しかし、イシェは不安を感じていた。この遺跡の雰囲気は、他の遺跡とは違っていた。まるで何か邪悪なものが宿っているようだった。
その時、棺の上から黒い煙が立ち上り始めた。煙は渦を巻いて空中に広がり、不気味な形を作り出した。そして、煙の中から、巨大な影が現れた。それは、人型の怪物だった。その目は赤く燃え盛っており、鋭い牙がむき出しになっていた。
「何だこれは…」ラーンが剣を抜こうとしたその時、イシェは彼を押さえつけた。「逃げろ！ これはやっつけられる相手じゃない！」
ラーンの顔色が青ざめた。彼は自分の無謀さを痛感した。テルヘルは冷静に状況を分析し、「この怪物は、王の墓を守護する存在なのかもしれない。 genetic なものかもしれない。」と言った。
「genetic なもの…？」イシェは聞き返したが、その言葉の意味は理解できなかった。
影はラーンたちに襲いかかった。ラーンの剣は空振りし、イシェは転倒した。その時、テルヘルが前に飛び出した。彼女は小さな瓶から赤い液体を出し、怪物に投げつけた。
液体が怪物に当たると、黒い煙が消え、怪物は苦しみながら崩れ落ちた。
「これで終わりだ。」テルヘルは言った。しかし、彼女の目はどこか虚ろだった。この遺跡には、彼女が想像していたよりも深い秘密が隠されているようだった。そして、その秘密は、ヴォルダンとのつながりだけでなく、彼女自身の過去とも深く関わっているように感じた。