「よし、今日はあの遺跡だな」ラーンが地図を広げ、興奮気味に指さした。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を睨んだ。「また危険な場所か。あの遺跡は落盤の噂もあるぞ」
「そんなこと気にすんな！大穴が見つかったら、俺たちの人生が変わるんだ！」ラーンは目を輝かせた。イシェはため息をつきながら、準備を始めた。
テルヘルは二人が言い争いをする様子を冷めた目で見ている。「準備は良いか？」彼女の鋭い視線に、ラーンとイシェは黙って頷いた。
遺跡への道は険しく、深い谷を縫うように進む必要があった。足場が崩れそうになる場所もあり、イシェは何度もラーンの腕を掴んでバランスを取り戻した。「本当にここに大穴があるのかね？」イシェの不安の声に、ラーンは自信満々に答えた。「もちろんだ！俺の直感が言ってるんだ！」
遺跡の入り口は崩れかけており、薄暗い通路が続く。ラーンは先頭を切って進むが、イシェは慎重に後をついていく。テルヘルは二人が行き過ぎないよう、常に注意深く周囲を観察していた。
しばらく歩くと、通路が広く開けてきた。そこには巨大な石碑が立っていた。「これは…」イシェが石碑に刻まれた文字を指さした。「古代語だ。何か書かれているようだ」
テルヘルは石碑に近づき、文字を丁寧に読み解いた。「ここはかつて王国の宝物庫だったようだ。そして、その奥には…」彼女は声色を落とすように続けた。「伝説の『適用』と呼ばれる力を持つ宝物が眠っているという。」
ラーンの目は輝きを増した。「大穴以上のものか！」イシェは不安げに言った。「そんな危険な場所へ行くのはやめようよ」しかし、ラーンの決意は固く、イシェの言葉は届かなかった。
「よし、探検だ！宝物は俺たちが手に入れる！」ラーンが石碑を叩くと、床が轟音と共に崩れ始めた。三人はバランスを失い、深い闇へと落ちていった。