ラーンが興奮気味に遺跡の入り口を指さした。「よし、イシェ!今回は絶対に何か見つかるぞ!」
イシェはため息をつきながら地図を広げた。「また行き当たりばったりか?ラーン、あの洞窟は以前から調査済みじゃないのか?」
「ああ、でもあの地図には載ってない場所があったんだ!ほら、ここ見て!」ラーンは指で地図の一部の小さな点を示した。イシェの眉間にしわが寄った。「ラーン、それは単なる汚れだよ。」
その時、テルヘルが声をかけた。「待て、二人とも。あの洞窟、以前調査した際に記録が残っているはずだ。ビレーの図書館に行けば資料があるかもしれない。」
「図書館?」ラーンの顔色が曇った。「遠回りすぎるだろ!俺たちは遺跡に潜りたいんだ!」
テルヘルは冷静に言った。「無駄な時間を過ごしたくないなら、事前に情報収集をする必要がある。それが効率的な方法だ。」
イシェはテルヘルの言葉を聞いて頷いた。ラーンの計画性のない行動にはいつも辟易していたが、テルヘルと一緒にいるようになってから、少しは冷静になれるようになった気がした。
ビレーの図書館は古い建物で、埃っぽい書物に囲まれていた。イシェは古代の記録を何冊も読み込み、ついにあの洞窟に関する記述を見つけた。「ここに書いてある…この洞窟には、かつて強力な魔術師が住んでいたという伝説があるようだ。そして、その魔術師が残した宝物が眠っている可能性もある…」
ラーンの目が輝き始めた。「やっぱり!俺の直感は間違っていなかった!」
イシェはため息をついた。「でも、注意書きもあるよ。洞窟には危険な罠が仕掛けられているかもしれない。」
ラーンは意に介さず、「そんなこと怖くない!宝が見つかったら、みんなで大富豪になれるぞ!」と叫んだ。テルヘルは静かに言った。「危険を軽視するな、ラーン。準備を怠らないように。」
こうして、三人は図書館で得た情報をもとに、遠回りながらも慎重に遺跡へと向かうことになった。