ラーンの粗雑な剣 swing が埃を巻き上げ、薄暗い遺跡内部を照らす松明の火が揺らめいた。イシェは眉間に皺を寄せながら、崩れそうな石壁を慎重に登り、後ろから続くテルヘルに「本当にここに何かあるのかしら？」と呟いた。
「黙ってろ、イシェ」ラーンが不機嫌そうに言った。「あの地図には間違いなく記されていたぞ。古代ヴォルダンの王墓だ、この遺跡には必ず何かあるはずだ」
テルヘルは冷ややかな目で彼らを眺めた。「宝に目がくらんで判断力を失うな、二人とも。私は貴方達を雇った理由を忘れたのか？」
「ああ、忘れないよ、テルヘル」ラーンは苦笑いを浮かべながら言った。「お前がヴォルダンへの復讐を果たすために、遺跡から何か手に入れたいって言うんだろ？ だから俺たちは危険な遺跡に潜り込むんだ。それでいいだろ？」
イシェは彼らを静かに見つめた後、ため息をついた。「運河の近くにあるこの遺跡は、かつてヴォルダンが築いたものだと聞いたことがあるわ。王墓なら、そこに何か重要な手がかりがあるかもしれない…」
「そうだろう」テルヘルは小さくうなずき、石畳の上を足早に歩み始めた。「早く進むぞ。日が暮れる前に王墓を見つけなければならない」
彼らは遺跡の奥深くへと進み、崩れかけた階段を降りていった。空気が重く湿り、壁には奇妙な模様が刻まれていた。ラーンは剣を握りしめ、イシェは小さな宝石を光らせて周囲を照らした。テルヘルは地図を広げ、複雑な経路を慎重に辿っていた。
すると、階段の終わりに大きな鉄扉が現れた。扉の上には、ヴォルダンの紋章が刻まれていた。
「ここだ…」テルヘルの声が震えた。「王墓への入り口だ」