ビレーの喧騒を背に、ラーンとイシェはテルヘルに従い、険しい山道を登っていた。目的の遺跡は、かつてヴォルダンが侵攻してきた際に激しい戦いが繰り広げられた場所だと、テルヘルが説明した。
「あの時、ヴォルダン軍はここを通過する際、この遺跡を破壊しようとしました。しかし、抵抗を試みた者たちが遺跡を守り抜いたのです。」
テルヘルの言葉にラーンは眉をひそめた。「抵抗を試みた者たち…」
イシェがラーンの肩を軽く叩いた。「あの戦いの記録はビレーの図書館にあるはずだ。後で調べてみようよ。」
遺跡への入り口は崩れかけており、内部は暗く湿っていた。テルヘルは小さなランプを取り出して周囲を照らした。壁には奇妙な模様が刻まれており、天井からは鍾乳石が下がっている。
「この遺跡は連環式に仕掛けられている可能性が高い。」テルヘルが言った。「一つ一つの部屋が互いに繋がっていて、特定の順番で進まないと、出口を見つけることができないかもしれない。」
ラーンは不安げな表情を浮かべた。「そんな面倒くさいこと…」
イシェは冷静に状況を判断した。「確かに複雑な構造だ。でも、テルヘルさんが言うように、連環式であれば、解き明かすことができるはずだ。」
彼らは慎重に遺跡を進んでいった。部屋ごとに仕掛けが施されており、間違えると罠が作動するようだった。ラーンの力強さとイシェの鋭い洞察力で、一つ一つの仕掛けをクリアしていく。
しかし、ある部屋で、彼らは大きな壁に阻まれた。壁には複雑な模様が刻まれており、その中心には宝石が埋め込まれている。
「これは…」イシェは声を詰まらせた。「ヴォルダン軍が遺跡を破壊しようとした際に、この宝石を活性化させようとした痕跡が残っている。」
ラーンは拳を握りしめた。「ヴォルダン…!」
テルヘルは冷静さを保った。「この宝石のエネルギーを利用すれば、壁を開けることができるかもしれない。しかし、そのエネルギーは制御が難しい。危険な方法だ。」
ラーンの怒りは抑えきれないものだった。イシェは冷静に状況を分析する。そして、テルヘルは目的のために必要な手段を選んでいた。彼らの前に広がるのは、連環する試練であり、それぞれの選択が未来を大きく変えていく。